カヤックフィッシングを始める際に最も時間を要したのがカヤック選び。
それまでカヤックを漕いだ経験もない、カヤックをしている知り合いもいない、近所にカヤックを取り扱っている店舗がない、ネット上にも情報が少ないという中でいきなり通販で購入するのはカヤック選びに失敗する危険性が高いと感じました。
カヤックは10万円以上の高い買い物になるため、失敗したくないとお考えの方も多いはず。
今回はバイキングカヤックの忍とプロフィッシュの両艇を徹底比較、それぞれの長所や短所をご紹介します。
カヤックを決める際の参考となれば幸いです。
フィッシングカヤックにはポリエチレン製のものと、高性能で高価なFRP製のものがあります。
バイキングカヤックの忍とプロフィッシュはポリエチレン製のカヤックなので比較的安価です。
ポリエチレン製のカヤックは多少ぶつけたりしても大丈夫なことも多く、最初の一艇目におすすめです。
一方で FRP製カヤックは高性能な反面、ぶつけたら破損しやすい等、取り扱いには少し注意が必要。
ポリエチレン製カヤックと比べて高価ですが、性能が良かったり、修理しながら使うことで長年乗り続けることができるメリットもあるようです。
FRP製のカヤック(ヒラドシェイカー)に試乗してみた感想は、こちらの記事で紹介しています。

前置きはこれくらいにして、忍とプロフィッシュの比較インプレをしていきます。
下記のルールに基づいて書いていますが、あくまで個人の感覚によるものですので、参考程度にお考えください。
- 釣り場は九州の太平洋側がメインです。
- 執筆時点で忍で37回、プロフィッシュで30回の釣行経験があります。
- 30歳で身長171センチ、体重65キロ、身体能力やバランス感覚は一般的だと思います。
- 評価は★の数で表します。★5つが最高とします。
安定感

カヤックを選ぶ際に最も重視したのが安定感でした。
転覆するとタックルや荷物等を紛失する恐れがありますので、安定感があることは絶対条件ですよね。
安定感は両艇とも非常に高水準なので、どちらを選んでも失敗はないはず。
忍 ★★★★★☆
転覆するのが難しいほどの絶対的な安定感です。
再乗艇の練習をするために意図して転覆させるのが難しかったほど。
凪であれば立てます(アングラーのバランス感覚にもよります)。
プロフィッシュ ★★★★★
忍には若干劣りますが、必要十分な安定感があります。
今まで転覆したことはありませんし、転覆しそうな危険を感じたこともありません。
カヤックの横から両足を出して釣りをすることもできるほどの安定感です。
速さ、走破性

ある程度の速度が出た方が有利ですし、海で釣りをするならば安全のためには絶対に必要です。
風や潮に漕ぎ負けたら岸に帰って来れなくなり漂流します。
1艇目に忍を買いましたが、潮の速い太平洋側で釣りをする上で危険性を感じたため、1年もせずにプロフィッシュに買い替えました。
釣果にもプラスに働きます。
速ければ漕いでいる時間が短くなり、相対的に釣りできる時間が長くなります。
多くのポイントを周ることもでき、遠くのポイントまで行くこともできます。
※カヤックの速度は、アングラーの身体能力やパドリング能力にも依るので、必ずしもこの速度が出るわけではありません。
忍 ★★★
聞くところによると、忍はポリエチレン製カヤックでは長さの割には速い方だそうです。
力を抜いて漕いで時速5キロ、全力で漕いで時速7キロでした(ベタ凪・潮止まり時)。
湾内の近場で釣りをする上では十分な速度が出せます。
カヤックが短い分(全長3.5m)、天候急変で風波が出ると船底が海面を叩いて速度を出しづらくなります。
外海で使用するには荒天や潮流への適応力が不足しているように感じ、プロフィッシュへの買い替えを決断した点です。
プロフィッシュ ★★★★★
プロフィッシュはポリエチレン製のフィッシングカヤックの中では最も速い部類だそうです。
これ以上に速いフィッシングカヤックはFPR製やABS製の物になってきます(JBカヤックスの485S等)。
力を抜いて漕いで時速6.5〜7キロ、全速力で漕いで時速9キロです。
忍と大きく違う点が「風波が出ても速度の低下が抑えられる」点です。
風波が出ますと速度は落ちるのですが、長さ(全長4.3m)があるため時速4〜5キロは出せる場面が多いです。
凪予報の時しか出艇しませんが、途中で天候が急変して時化た場面は多々あります。
速度は速ければ速いほど早く避難できるので安全上は良いです。
艤装、装備品
カヤックにアングラー好みの装備品を艤装し、釣りのしやすさ追求する点もカヤックフィッシングの醍醐味の一つです。
忍・プロフィッシュともに最初からロッドホルダーやレイルブレイザのスターポートなど、ある程度の艤装が施されています。
どちらもセンターコンソールの収納力は抜群。ルアーケース等はたくさん収納できます。
ここのフタに魚探を設置するパターンが多いです。
忍 ★★★★★
なんと言っても座席後部の4つのロッドホルダーが便利ですね。
ロッド4本を挿すのはもちろん、ロッド2本・ランディングネット・ギャフを挿すパターンもおすすめ。
フットレスト横にもレイルブレイザのスターポートがあり、自撮り棒を設置すると大物を釣った時に記念撮影もしやすいです。
プロフィッシュ45 ★★★★
座席後部のロッドホルダーは2本で、必要最低限は確保されています。
座席後部の2つの6インチハッチが便利です。
一つはフタを開けっぱなしにして水筒を入れ、もう一つはフタを閉めて濡れたら困るものを防水パックに入れて収納しています。
後部リアラゲッジ

基本的には、後部リアラゲッジにクーラーボックスを置きます。
忍もプロフィッシュもほとんど同じ広さで、シマノのフィクセル22Lのクーラーボックスがぴったりのサイズです。
40センチまでの魚なら真っ直ぐの状態で、50センチくらいまでなら魚体を曲げた状態で入ります。
ダイワのプロバイザー27Lは平置きできませんでした。
近場で釣りをする忍ならまだしも、「青物やシイラにも対応する本格派フィッシングカヤック」というコンセプトのプロフィッシュには小さ過ぎるようにも感じます。
忍 ★★★
近場でマダイや根魚、小サイズの青物を狙うのであれば十分のサイズのクーラーボックスを置けます。
プロフィッシュ ★
青物は一般的に、ある程度大きく太った個体の方が脂のノリが良く美味しいですよね。
コンセプトに青物を挙げるのであれば、座席後部の6インチハッチを無くしてでも大きなクーラーを積めるように設計してほしいです。
大きな青物が釣れたときは①リリース、②膝の上に載せたまま持ち帰る、③解体してクーラーに収納するの3パターンから選択することになります。
車載のしやすさ
どちらも頭の上まで担ぎ上げて車載できます。
一般的な身体能力の成人男性なら慣れれば大丈夫かとは思います。
どちらも前後の重量バランスが良いため、重さの割には持ち上げやすいです。
忍 ★★★★★
重さ23キロで、他のカヤックと比べて長さの割には軽いです。
楽ではないですが、苦労せずとも持ち上がります。
プロフィッシュ ★★★★
重さ28キロですが、なんとか持ち上げて車載できています。
4メートル越えのほとんどのカヤックは30キロ以上あるので、長さの割には軽いです。
風流れと釣り
どちらが良いというわけではありませんが、
忍の方がプロフィッシュよりも風でよく流されます。
カヤックでタイラバやジギングをする場合、風で程よく流された方がポイントを広範囲に効率よく攻めることができます。
そのため、無風ベタ凪よりも風が少し吹いている方が良い釣果は出やすいです。
浅場の釣りの場合、微風でも流される忍の方が良い釣果を出しやすいです。
特に浅場のティップランやタイラバなど、どてら流しでラインが斜めに入った方がよい釣りは顕著です。
深い水深でのジギングやタイラバ、スロージギングなどラインを立てた釣りは微風では流れにくいプロフィッシュの方が釣りをしやすく感じます。
総合的にどうなの?
忍・プロフィッシュともに非常に満足度が高く、自信を持っておすすめできる両艇です。
釣り場の環境によって忍とプロフィッシュを選び分けることで、より安全にカヤックフィッシングを楽しむことができると思います。
カヤック選びに悩んでいる方の参考になれば幸いです。
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